3.両生類種ごとの生息状況
 
1)サンショウウオ目
a、サンショウウオ科
■トウホクサンショウウオ Hynobius lichenatus


 本種は日本の固有種で、東北地方を主な分布域にしていることからトウホクの名がついている。東北地方南部に隣接する新潟、群馬、栃木の各県にも分布する。成体の全長は90〜140mmである。茨城県でも記録があるがこれはハコネサンショウウオかクロサンショウウオの誤認とみられる(稲葉、私信)。
 県内では石巻市小竹浜、亘理町逢隈の丘陵地から鳴子町花渕山、色麻町花染山(800〜900m)などの山地まで分布が確認された。南三陸の志津川などでは海岸近くにも生息している。
 産卵期以外の成体の確認は難しいが、稀に岩の隙間などで越冬している個体が見つかることがある。また小型哺乳類調査の際に使われる墜落缶に稀に入ることがあるが、本稀の生息の確認は、主に特徴のある卵襄で行った。
 産卵期は3〜5月で、湧き水がある水溜まりや、山間の小沢のよどみなど水の流れが穏やかな場所の枯れ枝や石などに、透明で多数のしわのある太いヒモ状の卵襄を一対付着させる。一腹中の卵数は20〜100個ぐらいで、単独で見つかることもあるが、多数の個体が同じ場所に集まることが多く、最大100個の卵襄を確認したことがあった。本種はクロサンショウウオと違い、卵襄を隠すように産む傾向があって、石の裏側や隙間を注意深く観察する必要がある。
 幼生は尾の部分に、黒い斑点が大きく虫食い状にあること、先端付近が一様に黒くなるなどの特徴がある。群れることはほとんどなく、ある程度の間隔をとって生活しているが、これは共食いを避けるための行動と思われる。餌は主に水生昆虫である。通常年内には変態して陸上生活に入るが、一部の幼生は変態に至らず水中で越年し、翌年に変態する。
 変態後の生態はあまり詳しく知られていないが、産卵場所周辺の林床などで生活していると考えられている。

※日本の固有種。東北地方が主な生息域。幼生の生息地(産卵場所)は、湧き水のある水溜まりや小沢など水温の変化が少なく、水の汚れの少ないところであるなど、環境の選択性が強い。